”私たちの行動はコントロールされている??” —「今日から使える行動経済学」より
みなさん、こんにちは!上京学生Kです。
私たちは毎日の生活を送る中でたくさんの経済活動をおこなっています。しかし、こうした経済活動の中にはたくさんの人間のクセを利用したワナが仕掛けられているのです。
例えばみなさんもこんな経験はあるのではないでしょうか?
一度、定期購読を始めてしまったものをやめれなくなってしまったり、必要であるかどうかもわからない保険に入ってしまったり、、、。
こうした行動のクセは全部、行動経済学で説明されるのです!!
そこで今回、紹介する書籍はコチラ!
「今日から使える行動経済学」
著者:山根承子、黒川博文、佐々木周作、高阪勇毅
出版:ナツメ社(2019-03-13)
今回は行動経済学について取り上げられた書籍「今日から使える行動経済学」のまとめを紹介していきたいと思います!
行動経済学とは?
そもそも行動経済学とはどういった経済学のことなのでしょうか?
ちょ〜〜〜、簡単に説明しますと...
経済学 × 心理学
というイメージを持ってもらえれば大体は合っています。
そもそも、なぜこうした行動経済学にスポットが当たるようになったかというと、人間は必ずしも合理的な判断を下すとは限らないということが言われるようになったからです!
そうした人間の非合理さを表す手段として行動経済学が用いられるようになったんですね!✨
第1章:職場・チームの行動経済学
■人は利益の獲得より損を回避しようとする?p.30〜
私たちは自然とできる限りの損を回避しようとする性質を備えています。その性質を「損失回避」と言います。
なんと、人にとって悲しみは喜びの2倍程度の心理的インパクトを与えるらしいです!
このことは実際にある研究によると
「成果が出てからボーナスを渡すよりも。先にボーナスを私て、成果が出なければ没収するというボーナスの与え方の方が、成果が高い」
という結果も出ているそうです!
確かに、日常生活の中でも利益よりも損を避けがちですよね😄
■インセンティブは本当に人をやる気にさせるのか?p.52〜
人の同期は以下のように区別することができます!
しかし、インセンティブは適切なもの出なければやる気を上げるどころかマイナスの効果になってしまうこともあります。
cf.保育園のお迎え罰金制度
イスラエルの保育園で子供のお迎えに遅れると300円の罰金を払うという制度が導入された。
→遅刻が減るどころか、お金を払えば許されるということで遅刻数は増加した。
こうした事例があるようにお金というのは万能ではないということはしっかり理解して、適当なインセンティブを用意する必要があるでしょう!
■幸福のパラドックスp.66〜
幸福のパラドックスとは人々が豊かになっても人々の幸福度が上がるわけではないということを示しています。
こうした関係が見られる理由は以下のようなものが挙げられます。
- 豊かさにはすぐに慣れてしまうから。(順応仮説)
- 「豊か」という目標値が更新されていくから。(目標水準仮説)
- 「豊か」とは幸福の基準点からの一時的なズレであり、時間が経つとそのズレが修正されるから(基準点仮説)
つまり、「豊かさ」というのは絶対的なものではなく相対的なものであるから、その値が変動するため、この関係が成り立つと言えるのではないでしょうか?🤔
第2章:顧客を動かす行動経済学
■アレのパラドックスp.92〜
さて、みなさんに質問です!
下の問題1・問題2でそれぞれどちらの袋からくじを引きますか??
上の図のような問題の場合、問題1ではAを選ぶ人が多いと思います。しかし、A→CとB→Dには同じ操作が施されているにも関わらず、問題2ではDを選ぶ人が多くなると思います。
このような既存の経済理論に合わない現象が起きることを「アレのパラドックス」と言います!
ちなみに上のような問題で先ほどの結果が生じるのは人間は確実性を好むという確実性効果が働いているとも言えます!
■プロスペクト理論p.94〜
既存の経済学の理論である期待効用理論をアップグレードしたのがこのプロスペクト理論です!
期待効用理論:効用関数+客観確率
ここで注目したいのが価値観数です。その特徴とは...
- 利益と損失を分けて考える必要がある(左右非対称なS字型曲線)
- 同じ額もらった時の嬉しさと悲しさは釣り合わない(損失回避)
- 判断の基準はその時々で変わっていく(参照点)
このようなものが挙げられます。
■現在維持バイアスp.116〜
一言で表すと、「今が最高!」というように錯覚してしまうことを現状維持バイアスと言います。
これも損失回避の一種であり、変化により失うものを実際以上に大きく感じてしまうために発生します。例えば、冒頭でも挙げた、定期購読をやめられないといったことや、なかなか転職する決断ができないというのもこれが原因になっています。
第3章:自己啓発・社会貢献に使える行動経済学
■社会比較ナッジp.130〜
多くの人がやっていることはなぜか自分もやらなくちゃ!となってしまう経験ってよくありませんか?この心情をうまく活用した社会比較ナッジというものがあります。
この社会比較ナッジは実際に社会の問題解決のために活用されています。
例えば、寄附やボランティア、エコなどへの呼びかけの文言といった社会貢献の面や、電気代の支払いや納税の催促などのために「他のみんなはやっています!」といったフレーズで心を揺さぶっています。
■仕返しよりもお返しを!p.144〜
最後通牒ゲームという興味深い実験をご存知ですか?このゲームのルールは次のようなものになっています。
Aさんに10000円を与える。BさんはAさんが10000円をもらうことを知っている。Aさんは自分の好きな配分でその10000円をBさんと分けることができる。BさんはAさんの配分に不満があればこのゲームを無かったことにできる。
もし、2人が経済的に合理的な人であればどんな配分であってもBはAからのお金を受け取ると思います。しかし、実際に実験の結果ではBさんに不服があれば拒否することがあるとわかっています。
このような結論に至るのは「負の互恵性」が働くからだと結論づけられています!
一方、自分に親切にしてくれたら、親切に仕返すという「正の互恵性」といった減少も見られています。
つまり、
仕返しよりも、お返しの方が経済的な成功を導く
ということです!!✨
第4章:投資に役立つ行動経済学
■危険な「なんとなく〜」p.180〜
人間は判断するときに、つい「なんとなく」を根拠にしてしまいます。こうしたバイアスのことをヒューリスティックと言います。
ここでみなさんに問題です!!
Q.どちらの英単語が多いでしょうか?
- " r "で始まる英単語
- 3文字目が" r "の英単語
みなさんはきっと「1」を答えに選んだのではないでしょうか?しかも、その理由はなんとなく1の方がたくさん思いつく気がしたからのようなものではなかったでしょうか?
これこそがヒューリスティックです!
■アンカリング効果p.186〜
事前の情報をもとに予想してしまう傾向のことをアンカリング効果と言います!
1つ実験を紹介します。
問:国連加盟国のうちアフリカの国の割合は?
ここで、1〜100の数字の書かれたルーレットを回してもらう。
※数字は10と65しかでない
結果:10が出た被験者の回答は平均25%、65が出た被験者の回答は平均45%であった。
この実験からも人間が事前の情報に思考が引っ張られるといのはあり得る話ですね!😮
■ギャンブルには気をつけよう!p.208〜
最後にいかにも危なそうな見出しですが、ギャンブルが中毒になりやすいのは行動経済学の理論で説明できます。ここではその効果をいくつか挙げます!
ハウスマネー効果
あぶく銭の価値は稼いだお金の価値より低く感じてしまうという性質のこと。
ブレークイーブン効果
ギャンブルなどで損失が出た時に、ギャンブルで取り戻そうとする性質のこと。
大穴バイアス
競馬などで人気である本命馬券を避けて、大穴馬券を買いたくなるという偏向のこと。
まとめ
こうした人のクセを知ることで、必要なところでは我慢したり、無駄遣いを防いだり、というように理性を働かせることができるのではないでしょうか?🤔
また、本書でも出てきた通り、内容によっては社会問題の解決やビジネスのシーンでもこの行動経済学は活用されるかもしれません!
行動経済学初心者でも読めるわかりやすい本なので興味があればぜひ読んでみてくださいね!👍